開発者が考える「今だからこそ必要な時間との向き合い方」genten × BERING Special interview


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Special interview
開発者が考える「今だからこそ必要な時間との向き合い方」
プロダクトに込められた特別な想いとは
2024年のコラボレーションを経て、再び両ブランドがコラボレーションを実現した背景、プロダクトへのこだわりや想いについて、製品のディレクションを担当した開発担当者の方にインタビューしました。
プロダクトに込められた想いや製作秘話を、インタビューとともにお楽しみください。
Q1.コラボレーション商品第二弾の開発に当たりこだわったポイントを教えてください。
gentenが大切にしているのは、「長く使うことができて、使うほどに愛着が育つもの」。
時計というアイテムは、まさにその哲学を体現できるプロダクトだと思っています。
今回の第二弾では、色をブラックにすることで、より静かに、より凛とした佇まいを目指しました。
黒は“無彩色”であるがゆえに、ごまかしがきかず、素材そのものの質感や、ディテールの丁寧さがまっすぐに表れます。
ステッチの糸一本の色味、コバの磨き方、金具のわずかなツヤ……。
そうした「見えすぎない工夫」が、まさにgentenらしさであり、静けさの中に確かな存在感を宿すよう心がけました。

もうひとつ大切にしたのは、「使い手が仕上げていく余白」を残すことです。
この時計に使われているミネルヴァリスシオは、使うほどに艶が増し、手にした方それぞれの時間を映すように育っていきます。
ブラックという色は、その変化がより深く、ドラマティックに表れる色。手入れしながら、日常と共にゆっくり味わっていただけたらと思っています。
Q2.時計のデザインで難しいと感じる点、苦労した点などがあれば教えてください。
gentenは「自然に寄り添う」ものづくりをしています。だから、プロダクトにもどこか"呼吸"のような余白を持たせたいという思いが常にあります。 でも時計は、極めて工業的で正確なアイテム。緻密で、狂いのない世界です。
だからこそ、このコラボでは「正確さと曖昧さのバランス」を取るのが一番のチャレンジでした。数字で測れない“やさしさ”や“温度”を、どこまで時計というフォーマットに落とし込めるか。これはgentenらしい緊張感のある挑戦だったと思います。
見た目に派手さはないけれど、細部まできちんと手を入れている。日々使うなかで、じわじわとその魅力に気づいてもらえる。そんな“静かな説得力”のあるものが、今の時代には必要だと感じています。

Q3.革という素材に魅力を感じるのはどんな点ですか?
他の素材にはない、革ならではの特性とはどんなものでしょうか。
gentenが大切にしているのは、「過剰でない暮らし」や「自然と調和した生き方」。そうした価値観の中で、革という素材はとても大きな意味を持ちます。
特にこの時計で使用しているミネルヴァリスシオは、植物タンニンでなめされた"時間を刻む"素材です。革が持つシワや血筋も、ひとつとして同じものはなく、その表情をあえて手を加えすぎずに残しています。
自然に敬意を払いながら、その個性を受け入れるものづくりです。
私たちは、素材のもつ個性を消すのではなく、活かすという選択をしています。それはまさにgentenの哲学そのもの。大量生産や画一性ではなく、「ものと人との関係性を育む」ことを大事にしているのです。

Q4.今回の商品をどのようなシーンで使用してほしいですか?
おすすめのコーディネートなどもあれば教えてください。
この時計は、忙しない毎日の中でも「少し立ち止まるきっかけ」になってほしいという想いがあります。
朝の出勤前、ふと手に取るとき。夜、外して置くとき。そんな小さな動作のなかに、「あ、今日もちゃんと時を重ねたな」と感じられるような、静かな気づきをくれる存在です。
ファッションとしては、gentenの革小物やバッグとの相性はもちろんですが、天然素材の服、生成色、リネン、ウールなど、自然素材のアイテムと組み合わせていただくと、質感の調和が美しいと思います。
一方で、黒は万能な色でもあります。だからこそ、“合わせる”のではなく、“自分の一部”のように馴染ませて使っていただくのも良いと思います。

Q5.最後にユーザーの方に伝えたいメッセージをお願いします。
この時計は、gentenとBERINGが一緒に、「今だからこそ必要な時間との向き合い方」を探して生まれたプロダクトです。
時代がどれだけスピードを求めても、gentenはこれからも「時間をかけること」「手をかけること」「育てること」を大切にしていきたいと思っています。
この時計も、最初はまだ"完成していない"製品です。使ってくださる方の暮らしの中で、少しずつ深まっていくことで、本当の完成に近づいていく。 そんな考えに共感してくださる方と、このプロダクトを分かち合えたら嬉しいです。
